バングラデシュの服飾工場見学(第五カ国目:バングラデシュ)
今回は通常とは少し違った回になっております。
バングラデシュのファッション工場ついて書いていきます。
このブログでは言っていませんでしたが、実はこの旅の中での一つの目的は”自分の今着ている服がどのように作られているか知る”でした。
中学生の頃からジャンル問わずコンビ二に置いてあるファッション誌は片っ端から読んでいたほど、服には関心があり、個人的にはバングラデシュの服飾製造工場とジンバブエのコットン農家を見ることはこの旅の中の大きな目標でした。
そのうちの一つということで、今回は少し長めの記事です。
服の工場の中に入るのが今回の目的。
しかし、バングラデシュに入国する1ヶ月前にアポを取ろうと工場にメールを送ったものの、返信無しの状況です。学生という身分がいけなかったのか。
そんなときは当たって砕けければいいんです。
宿からバスを乗り継ぎ、ダッカ北西にある
Baypaylまで行ってきました。
この地域にある今回の目的地はこちら!
EPZ(The Export Processing Zone)
バングラデシュで政府が運営する工場区域です。ここには世界各国の名だたる企業が工場を置いていて、工場一つの規模も他の地域にあるものと比べると段違いに大きいです。このような工業地域は国内に八箇所(ダッカ、チッタゴン、その他)あり、ここはそのうちの一つ。
プノンペンにあったPPSEZ(PHNOM PENH SPECIAL ECONOMIC ZONE)と同じように区域の前には大きなゲートが立っています。
といってもあのように立派で真新しい建物ではなく、古く寂れている姿が印象的。これがバングラっぽい。
出入りしている人は大きく分けて二種類。
スーツをバチっと決めているビジネスマンか、
民族衣装を着用した女性の工場労働者です。
中にはビジネスウーマンの方や男性労働者の方もいましたが、全体に占める割合はほんの僅か。
道には排水溝があり、工業排水やゴミ、糞尿などで強烈な匂いを発しています。
でも、僕の思うにここはまだマシな方。他の場所(普通の道端など)なんかもっと汚いです。
各工場の入り口にはセキュリティが立っているため、部外者は容易に入ることが許されません。しっかりと管理が行き届いています。
とりあえず片っ端から順に入ろうとするのですが、事前にアポも取っていなかったため訪ねたほとんどの工場で立ち入りを禁止されてしまいました。
しかし、幸いにも一つの工場の入り口でガードマンと話している際、責任者が通ったため話しを聞いていただけることに。結果的にはこの工場内部にも入れなかったのですが、責任者の方からフィードバックをいただけました。
どうやら今回の失敗要因は、
・アポが無い
・携帯の電話番号が無い
の二点。意外にも電話番号が無いのは致命的。実際、工場の方と何度か交渉していく中で電話番号があれば当日中に内部に入ることが出来たかも知れない…!!という機会が何度かありました。
「君の事本部に相談してみるから連絡先頂戴よー」みたいに言ってくれる親切な人もいるんです。
そして、今回も別れ際に「知り合いの工場なら見学出来るかもよ」と違う工場の責任者の電話番号をいただきました。
ここまできたら、何としてでもコンタクト取らなきゃ勿体無い。
バスで宿まで戻って近郊のショッピングセンターで携帯を購入。
買ったばかりの携帯で連絡すると、
その方から「明日ならOK」と返事が来ました。
次の日
いよいよ工場見学です。今日行くのはダッカ北部のGAJIPUR(ガジプール)という地域。EPZのように経済特区ではありませんが、服飾工場の多い都市です。
そして、今日訪問する工場がこちら。
※諸事情により工場内部の画像は削除しました。
でかい。デパートと見間違える大きさです。
やはりここにもセキュリティゲートがあり、最初はびくびくしていましたが、こちらの旨を伝えると、丁寧に中まで案内してもらえました。
お客様用の応接間に通され、工場の説明を受けます。
この工場で働いている従業員は約1000人。比率は男性が4割、女性が6割。工程によって割合は違い、縫製など細かい作業は女性が多く、染めやアイロンがけなど力仕事かつ危険が伴うものは男性が担当しているようです。
軽い説明が終わってから、
工場見学スタート
まずはパターン。服の設計所みたいな場所です。
この立体の服を平面の図面に落とし込む作業がここで行われます。この設計図を元に生地を裁断し、洋服を作っていくようです。
二番目はパターンの工程で作られた図面を元に生地をカッティングする機械です。日本で見たものよりも二倍以上大きく、工場の規模を物語っています。
三番目は服飾工場の要、縫製のパートです。一般的に工場と言われるとここをイメージするかと思います。このパートで働いている従業員のほとんどは女性。
一つのラインには50人以上の従業員がおり、仕事は完全分業制です。数ある生産工程は驚くほど細分化されています。一つの直線を縫うだけの作業に一人が就いているイメージ。
効率を重視した結果だとおっしゃっていました。このパートなら新しい労働者も一つの作業さえ覚えれば即戦力になれます。
四番目はアイロンがけのパート。僕達が服を買うとき服はしわ一つ無い綺麗な状態で売られていますよね。それはこの工程あってこそなんです。男性の方でもすばやく丁寧に作業しており、手馴れた手つきが目に付きます。
最後は布染めのパートです。高校の体育館ほどの面積を誇る部屋に地下鉄の車両一個分はあろうかという大きさの巨大タンクが数台並んでいます。 このスケール感は凄い。
ただ、室温は12月下旬の今でこそ20度後半といった具合でしたが、夏になると20~30度は暑くなりそう。実際に担当者の方も「めっちゃ暑い」と言う位ですので。
床は所々染料か薬品かわからない液体で濡れていました。
以上で工場見学は終了。
訪れたのは平均気温20度の冬季だったため、室温は比較的快適でした。夏になると暑くなるらしいので、今度は夏季にも行ってみたい。
僕が工場に着いた13時は従業員の休み時間で、14時30分まで続いてました。日本でも1時間半の昼休みを取れる会社なんて少ないのでは。床に布を敷き布団代わりにして寝たり、お昼ごはんを食べに行ったり皆さん各々の過ごし方をしていました。
聞くところ労働時間は9:00~18:00
バングラデシュの平均と同じくらいでした。
感想
私はここに訪れる前にバングラデシュの服飾工場に対してこんなイメージを抱いておりました。
・汚い
・暑い
しかし、実際はどうでしょうか。季節柄"暑い"に関しては判断出来ないとして、他の二要素に関してはあまり酷くはないように感じました。それも一度ダッカの街を見てしまうとなおさらです。EPZに関してはまともに舗装された道路に排水溝がしっかり付いているだけでも凄い設備だと思います。
もっと劣悪な環境で働いている人は沢山いるだうし(リキシャマン:常に車に轢かれる可能性を秘めているうえに低賃金重労働)、現地の服飾専門大生によれば、ラナプラザ崩壊事件以降、最低賃金は上がり(1.5倍~2倍)、労働環境も改善に向かっているらしい。
今までの勉強では自分達の労働スタイルと照らし合わせて、バングラデシュの工場は労働環境が悪いなどと学んできましたが、その国にはその国の働き方があり、単純に先進国と比較するのはナンセンスなのかもしれない。
勿論、今回紹介した工場だけが全てでは無いため、この記事だけを判断材料にしてもほしくないのですが、事実として、バングラデシュにはこのような工場もあると認識していただけると幸いです。
ということで今日はここまで。
長々と書いてしまいすみませんでした。
次回からはサクサク読める軽ーい記事を意識しますー。
ではでは